blue beard / st (mangrove)

basquiat1901-01-03


このCDを初めてトレイに挿入し、スピーカーに耳を傾けた瞬間から、私はただ、スピーカーの前にたたずむことしかできませんでした。そのスケールの大きさを感じさせてしまう楽曲は聞く者の想像力を豊かに膨らませてくれます。さらに、艶のある伸びやかな声とテクニカルで繊細な演奏は、聴く者を惹きつけます。
1. タイトルも歌も無いこの曲は2分少々という短さですが、一つの曲の中で静と動、強と弱が丁寧に表現されています。その、静と動、強と弱は、単にエフェクターを踏んだような離散化されたものでは無く、人の柔らかな指によって生み出される連続的なものによって生み出されています。また、この曲は、始まりを想起させ、やがてその始まりは、2.room501への布石となります。4拍から3拍へ… 1. から受け継いだ壮大なイメージは加速度を帯び、あらたな動きをみせます。さらに、ヨシカズさんの歌声が入ると、曲に表情が生まれます。前半から後半にかけて壮大なイメージは徐々に徐々に拡大し、やがてクライマックスを迎えます。 5.snowでは、雪がもつその冷たさや寂しさ、しんしんという擬態語、その情景を実に見事に再現してくれます。展開はいたってシンプルでストレートですが、後半にかけて徐々に盛り上がるさまは、曲が持つどことなく悲しい、寂しい感じをさらに煽ります。


Kei